フレスコ・テンペラ・油彩|技法の違いと変遷
フレスコ・テンペラ・油彩は、描く材料が違うだけでなく、古代から中世、そして15世紀へとつながる絵画技法の時代差まで映し出す表現である。システィーナ礼拝堂の天井を見上げたとき、あれほど巨大な画面なのに光沢がなく、絵具が壁そのものと溶け合っていることに驚いた経験が、フレスコの本質を教えてくれました。
フリーダ・カーロの生涯と代表作|自画像に刻んだ痛み
フリーダ・カーロは、1907年にメキシコシティ近郊コヨアカンのカーサ・アスールで生まれ、1954年に同じ家で生涯を閉じた、20世紀メキシコを代表する女性画家です。現存する油彩約143点のうち約3分の1が自画像で、そこには6歳のポリオと18歳のバス事故、さらに30回を超える手術と流産の記憶が、
マティスとフォービズム 色彩の魔術師の野獣派革命
フォービズムは、1905年秋のパリ、サロン・ドートンヌで鮮烈な色彩の絵画群がひとつの部屋に集められたことから始まった、20世紀初頭の絵画運動です。批評家が古典彫刻を見比べながら「野獣たちに囲まれたドナテロ」と叫んだ一言は、蔑称であるはずの「野獣」をそのまま旗印へ変えました。
マネの草上の昼食とオランピア|近代を生んだ2つの炎上
エドゥアール・マネは、1863年と1865年にパリの美術界を二度揺さぶった画家です。『草上の昼食』は1862-63年制作の横208×265.5cmの大作で、1863年の落選展に並ぶや会場に野次馬が殺到し、『オランピア』は1863年制作の横130.5×190cmで、
伊藤若冲 動植綵絵|全30幅 極彩色の到達点
動植綵絵は、伊藤若冲が宝暦7年(1757)頃から明和3年(1766)頃まで約10年をかけて描き継いだ全30幅の絹本著色による連作で、江戸中期の花鳥画の到達点とされる大作です。
モナリザはなぜ有名なのか|世界一になった5つの理由
モナリザは、レオナルド・ダ・ヴィンチが1503年頃から1519年にかけて手を加えた油彩のポプラ材パネル画であり、ルーヴル美術館が所蔵する縦77×横53cmの一枚です。
最後の晩餐|ダ・ヴィンチが隠した構図と謎
『最後の晩餐』は、レオナルド・ダ・ヴィンチが1495年から1498年にかけて、ミラノのサンタ・マリア・デッレ・グラツィエ教会に隣接する修道院食堂の壁へ描いた縦約4.2m、横約9.1mの巨大壁画です。実物の前に立つと、横9mの壁面が視界を覆い、奥へ抜ける窓の光に自然と目が引き込まれていきます。
絵画の巨匠たち|時代と運動で辿る西洋美術史
『絵画の巨匠』という言葉で西洋美術史を追うと、単なる有名画家の一覧ではなく、時代ごとに何が更新され、何に反発して次の表現が生まれたのかが見えてきます。ルネサンスから現代アートまでを横断して整理すると、絵画は「上手い描写」の競争ではなく、
神奈川沖浪裏の工夫:北斎が仕掛けた構図・色彩・技法の秘密
『冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏』は、葛飾北斎が天保元〜4年(1830〜1833年)頃に手がけた木版画で、25.7×37.9cmという横大判の小さな画面に、10メートル超の大波と遠くの富士山を封じ込めた作品です。実物はA4用紙より一回り小さいのに、視線を吸い込む迫力があります。
印象派とは?特徴・代表画家・名画を解説
印象派は、19世紀後半のフランスで生まれた絵画運動です。名称はクロード・モネ(Claude Monet)の印象・日の出(Impression, soleil levant)に結びつき、1860年代後半に形成が進み、1874年の独立展で運動として輪郭を持ち、
モネの代表作10選|睡蓮から印象・日の出まで
モネの代表作を通して、1840年生まれの画家が光と時間をどのように絵に刻んできたかをたどります。印象・日の出(1872年、48×63cm)を起点に、睡蓮連作(約250点)へ至る制作の流れを、制作年・主題・所蔵・鑑賞ポイントの観点から10点で紹介します。
ルノワールの生涯と代表作|光と色彩の変化
ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841–1919)は、印象派の創設メンバーとして明るい色彩と戸外の光を受けとめながら、ことに人物へ落ちる光の描写を自分の中心に据えた画家です。しかも1881年の旅行を境に、単なる「印象派の人」で終わらず、輪郭と構図を立て直しながら古典性と色彩を結び直していきました。