名画解説の記事一覧
モナ・リザの前に立つと、防弾ガラスと人だかりの向こうに、思っていたより小さな板絵がこちらを押し返すような存在感を放つ、と感じる人は多いはずです。世界一有名な絵になった理由は、ただ名作だからではありません。
サンドロ・ボッティチェリ(Sandro Botticelli)のヴィーナスの誕生は、1483〜1485年頃にテンペラ・カンヴァスで描かれた172.5×278.5cmの大作で、現在はウフィツィ美術館に所蔵されています。
星月夜は、1889年6月にサン=ポール・ド・モーゾール療養院で描かれた、夜明け前の空を出発点にした絵です。東向きの窓から見た実景が土台にありつつ、画面下の村は観察の写しではなく、ゴッホが構成した想像上の要素として見るのが筋です。
フィンセント・ファン・ゴッホ(Vincent van Gogh)のひまわりは「何点あるのか」で話が食い違いがちですが、本稿で扱うのはパリ期の先行作ではなく、アルルで描かれた“花瓶に生けた連作”7点です。
1831〜1834年ごろに西村屋与八(永寿堂)から刊行された、横大判錦絵・約25×37cm前後の神奈川沖浪裏は、北斎冨嶽三十六景全46図の中核をなす1図です。
ゲルニカは、何が描かれているのかだけを追っても、なぜ白黒なのか、なぜ反戦の象徴になったのかが途中で宙に浮きます。スペイン内戦と1937年のパリ万博という歴史背景、45点の習作とドラ・マールの写真が残す制作過程、そしてMoMAから1981年にスペインへ返還されるまでの展示史をひとつながりで見ると、
ムンクの叫びは、中央の人物が叫んでいる絵として知られていますが、作品日記と原題自然の叫びまでたどると、むしろ「自然の叫びに耳を塞ぐ存在」と読むほうが筋が通ります。
真珠の耳飾りの少女牛乳を注ぐ女など7点を光・空間・主題の三つの視点から読み解きます。各作品について制作年、技法、所蔵先を示し、鑑賞の焦点がつかめるよう解説します。
真珠の耳飾りの少女はしばしば“少女の肖像画”として語られますが、17世紀オランダの制作習慣に照らすと、まずトローニーとして見るほうが筋が通ります。実物は44.5×39.0cmと意外に小さく、会場で数歩引くと、輪郭のやわらかなぼかしと耳飾りの光がふっと立ち上がって見え、